根府川の「おかめ桜」

・小田原市根府川（ねぶかわ）の「おかめ桜」を訪ねました。
おかめ桜は早咲きの桜で、植栽をしている農家レストランの
説明書きによると、寒緋桜と豆桜（冨士桜)を交配した栽培品種で
イギリスで誕生したとのことです。
花はピンク色で小さく、可憐な花をつけます。
相模湾に面した白糸川を望む斜面に、早春の桜が咲き誇ります。

・3月12日、午前8時58分、東海道本線根府川駅に到着。
ホームは相模湾を見渡せる高い崖の上にある。
小田原寄りのホームの端に行って、しばらく相模湾を見る。
穏やかな海の広がりがいいと思う。

・根府川駅前に、おかめ桜が何本か咲いていて、赤みのある花が
見ごろになったのを教えてくれる。
周辺には「おかめ桜まつり」の幟（のぼり）が立っていて、
桜まつりの雰囲気を盛り上げている。

・田舎の雰囲気がするが、この近くにはゴルフ場やリゾート
ホテルがあって、列車が到着すると送迎バスに人が乗り込んでいく。
都心から近いので、利便性が良いところだと思う。

・駅前の農協の駐車場で、柑橘類の販売をしている。
いろいろな種類があって、どれもおいしそうだ。
販売員の方に、おかめ桜の会場への行き方を教えていただく。

・駅前の道を真鶴方向に向かって歩きはじめる。
地元の方だろうか「おはようございます」と挨拶をされて、
「おはようございます」と返す。

・500mほど歩いて、右側の坂道に入る。
先ほどまではゆるやかだったが、上りが急になってくる。
展望が開けてきて、下に白糸川が流れ、新幹線や東海道本線、
その先には穏やかな相模湾が見える。
山の斜面には柑橘類の樹木が多く、名前はわからないが
黄色やオレンジ色の実をつけている。

・しばらく行くと星ケ山のレストランの入口が見えてくる。
おかめ桜第二会場と書いてある。
おしゃれな洋風の建物で、宿泊施設もあるようだ。
白糸川近くにおかめ桜が咲いていて、渓流の音が聞こえる。
気になるが、とりあえず上を目指す。

・沿道の斜面のおかめ桜を見たり、まわりの景色を見たりして、
ゆっくりと登っていく。
歩き始めて30分近くなると、ずいぶん高いところに来たと思う。
白糸川の川幅は細くなり、ずっと下に見える。道路わきには
白糸渓谷の表示がある。建設中の道路の下を抜けて、
農家レストラン「きのこ苑お山のたいしょう」に到着する。

・下から見上げると、山の斜面にピンク色のおかめ桜が
たくさん咲いている。数十本か、それ以上はあると思う。
案内標識を見て、位置関係を確認する。
農家レストランのパンフレットによると、この時期は
菜の花とおかめ桜、三月下旬は照手桃とソメイヨシノと書いてある。
それ以外にも年間を通じて、花が咲くようになっている。
敷地内にはシイタケ栽培をしていて、季節によってみかん狩りや
ブルーベリー狩り、タケノコ掘りなどが出来る。
お子さん連れの家族や、グループで来たら、みんなで楽しめそうだ。

・順路に従って、おかめ桜を撮影していく。
山の斜面で通路が狭い。他の方の邪魔にならないように
周囲に気をつかう。

おかめ桜の花は小さい。
花びらは、ソメイヨシノの1/3〜1/4以下だろうか。
念の為にマクロレンズを持ってきて良かったと思う。
ただ、風が時々吹くのでピントがずれる。
写真の場合は、シッタースピードを上げるか、風が弱まるまで
待てばよいのだが、動画でのマクロレンズによる接写撮影は
風がある程度の時間弱くならないと、動きが大きすぎて使えない。
通常、花を動画で撮影をする時は、風で揺れていたほうが、
動きがあって良いのですが、マクロ撮影では様子が変わります。
また、雲で陽が遮られると色温度が変化してしまうので、
風と陽射しの両方を見ての撮影となる。
時間は十分あるので、あわてることはない。

・敷地内の高いところにある見晴らし台からの眺めも良い。
向かい側の山と白糸渓谷と、見下ろせば菜の花とおかめ桜。
ベンチに座って、ゆっくりと時間を過ごす。

・昼近くなったので、農家レストランの前に行く。
人出が多くなって、レストランの順番待ちの方で混んでいる。
オープンテラスで搗き立てのお餅をちぎって食べている
家族連れがほほえましい。
駐車場がいっぱいになったのか、車道に車が並んでいる。
お腹がすいてきたが、時間がかかりそうなのであきらめる。
来る時に登ってきた道を、下って帰路につく。
早春の根府川の景色に出合えて、良かったと思う。

帰ってからWEBで、根府川地区について調べました。
根府川駅は1923年9月1日、相模湾を震源とした関東大震災で
駅舎とホームに進入してきた列車が、地滑りで海に沈んで
しまうという、痛ましい災害事故がありました。
また同じ日、白糸川流域には山からの土石流で
多くの方が亡くなられていました。
関東大震災では火災による被害が大きく伝えられていますが、
それ以外にも、多くの犠牲者が出ていることを、
改めて思います。
自然は美しい。しかし、時として猛威を振るいます。
難しいのですが、自然と共存出来ればと思います。
災害に遭われた方々の、ご冥福をお祈りします。