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取材記一覧

冬の津軽

・五能線の千畳敷、弘前公園、岩木山神社、津軽鉄道の取材記です。
今年(2020年)は暖冬で雪が少ないのですが、訪れている間は、
降雪が多く、雪景色を撮ることができました。


・2月8日、JR弘前駅8時48分発、リゾートしらかみ青池号に乗車。
先頭車両の指定席だが、弘前駅から川部駅は進行方向が逆になる。
川部駅から五所川原駅の間は、りんご畑が広がっている。
雪が降り続いて、りんごの木が雪に覆われて白くなっている。
時々、吹雪いて、列車の前方が真っ白になって、あまり見えなくなる。

鯵ヶ沢駅の手前から日本海が見えてくる。
10時16分、千畳敷駅に到着。
列車は、ここで15分間停車する。乗客の大半は降りて外に出てみる。
駅の目の前は、千畳敷海岸で、冬の日本海が広がる。
出発3分前になると、汽笛を鳴らして合図をしてくれる。
この駅で下車したのは、私ひとりだけである。

千畳敷駅の後ろは、崖になっていて、氷のカーテンが見える。
岩の間から染み出た地下水が、日本海からの冷たい風で氷り、
自然が造り出した芸術だと思う。
雪が降ったり止んだり、時々、風が強くなって吹雪いてくる。
岩のゴロゴロしている海岸は、薄く雪に覆われ、歩いていくには
危険だと判断をして、少し離れたところから撮影をしていく。
海にカメラを向けると、すぐにレンズに雪が張り付いてしまう。
気温はおそらく-2℃前後だと思うが、体感温度はかなり低い。
しばらく撮影をしていると、体が冷え切ってしまう。
駅のそばにある民宿の売店に入る。
コーヒーと生干し焼きいかを食べながら、吹雪の収まるのを待つ。
風が弱まると外に出て撮影を再開するが、10分と続かない。
再び、民宿の売店に入れていただいて待機をする。民宿の方は
親切に「自由に出入りしてもいいよ」と、言ってくれる。
予定を組むときに、吹雪の冬の海岸に長い時間いることが
出来るかどうか気になっていたが、少し無理があったと思う。

13時20分の電車で弘前に戻る予定でしたが、それより少し早い
路線バスで、鯵ヶ沢まで行くことにする。
駅のそばの小さな祠の大戸瀬神社にお参りをして、バスを待つ。
バスは空いていて私ともう一人だけ。約50分で鯵ヶ沢駅前に到着。
13時56分の弘前行きに乗車をする。

・弘宿の宿にチェックインをして、夕方、弘前公園に行く。
あたりは暗くなり、追手門付近のライトアップが始まっている。
「冬に咲くさくら」がテーマで、ちょうど新雪が積もってきれいだ。
見た目と同じようにする為に、カメラの色温度を調節していく。
追手門から園内に入り、灯篭などの雪像を撮影していく。
気温は後で調べたら-7℃、三脚を持ったりカメラを操作するので
両方の指が寒さで痛くなってくる。念のために防寒用の手袋を
用意していたが、今夜は油断をして持ってこなかった。
時々、撮影を止めて、指を温めながら撮影を続ける。
弘前城のライトアップは、人だかりが出来ている。
桜の時も良いと思うが、雪の夜の弘前城もいいと思う。

・宿に戻って、買っておいた日本酒を、刺身をつまみに飲む。
今夜は青森県産の地酒だけをそろえた。
なかでも、七戸の特別純米酒、駒泉「作田」が旨い。
いい酒に巡り合えたと思う。

・2月9日、弘前バスターミナルから100円バスで、弘前公園に行く。
途中、土手町あたりで、歩道から3才くらいの男の子が
バスに向かって手を振ってくれる。笑顔がとてもかわいらしい。
昨夜と同じように、追手門から撮影をしていく。
この時間は、弘前に大雪警報がでていて、降雪が多くなっている。
風がほとんどないので、撮ることはできるが、あたり一面が
真っ白になって、映像として見るには適さないかもしれない。
針葉樹に積もった大量の雪が、突然落ちてくるので油断できない。
様子をみながら撮影をしていたが、早めに切り上げることにした。

時間があるので、岩木山神社に行くことにする。
弘前バスターミナル 13時10分の枯木平行きの路線バスに乗る。
雪道を50分ほど走り、岩木山神社に到着。いままで降っていた雪が
やんで、雲の間から日が差してきた。
長い参道は雪で歩きにくいが、帰りの時間を気にして登っていく。
拝殿で、家族、友人知人の健康と安全を祈願する。
山門から日差しのある参道を見ると、雪景色がきれいだ。

・2月10日、朝から雪が少し舞う程度で、あまり降っていない。
前日、降雪で景色があまり見えなかったので、弘前公園に行って、
再度、撮影することにする。

朝の弘前公園は人出が少なく、公園管理関係の方が
積もった雪をよけるなどの作業をしている。
降雪が多くて見えなかったものが、今日はよく見える。

ゆっくりと雪囲いや雪像などを撮影していく。昨日は行かなかった
北の郭にも行ってみる。
小学生くらいの集団が歩いている。学校行事だろうか。
また、幼稚園か保育園と思われる小さな児童たちが引率されている。
小さなソリに乗って引っ張ってもらったりして、ほほえましくなる。
公園の一角に、飼育されていた白鳥が亡くなったことが書かれている。
そばには、白鳥の雪のモニュメントがつくられている。
以前、桜の頃に、足を痛めた白鳥が泳いでいたのを思い出しました。

・弘前駅、12時38分の列車で五所川原駅に向かう。
津軽鉄道、五所川原駅で津軽中里行きの乗車券とストーブ列車券を買う。
今では珍しい硬券である。鉄道ファンの為か、この券は回収されない。
14時48分発で、津軽中里駅15時33分着、同じ列車で折り返してくる。

車内はストーブの熱で暖かい。
団体旅行と個人旅行の人たちで混んでいる。
沿線は水田地帯で、雪が積もって白い平原が広がる。
車内販売のスルメを焼いてもらって、日本酒を飲む。
3日間の旅を降り返りながら、車窓に流れる景色を見ていた。


・JR弘前駅に入線するリゾートしらかみ 青池号

・五能線、千畳敷駅、後ろは氷のカーテン

・冬の千畳敷海岸

・追手門付近のライトアップ

・弘前城のライトアップ

・青森県産の日本酒

・岩木山神社、山門

・ストーブ列車

・ストーブ列車の車内

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