めぐり来る季節のビデオ Megurikuru Kisetsu
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取材記一覧

京急久里浜線 取材記

・1月25日、快晴の空が広がり、空気が一段と澄んでいる。
昼近くになっても富士山がくっきりと見えている。いつもは
朝早い時間に、はっきりと見えていても、気温が上昇すると
少し霞んでくるのだが、今日は珍しいくらいに良く見えている。
三崎口駅手前の仲田陸橋を見渡せるところに行って、
富士山と陸橋を渡る電車を撮影する。
10数年前は、まだ住宅も少なかったが、次第に住宅が建って、
画面の手前に電線が入ってしまうので、望遠気味にする。
富士山の手前の送電線は、この高さではどうしようもない。
5分おきに上りと下りが交互に通過するので、撮影を繰り返す。
望遠でパン撮影にすると、カメラ揺れが目立ってしまうので、
慎重に操作レバーを動かしていく。
黄色のイエローハッピートレインがうまくとれたので、次の
場所に移動する。仲田陸橋の見える別の場所で撮影をしてから、
三崎口駅に入る。
三崎口のホームも撮影ポイントだと思う。陸橋を渡って、
到着する電車と発車する電車、運転手が出てきて示唆確認で
電車をチェックしたり、作業員が前面ガラスを清掃したり、
他の駅とは違ったものを見ることができる。

・1月上旬に京急の電車をビデオにしようと思い、どんな
ストーリーにするか、ずっとイメージを浮かべて考えました。
内容は1〜2才の子供から大人まで、楽しんで見れること。
説明的なことや、専門的な内容は入れない。書店にいけば、
京急の電車の本はたくさんあるし、京急のホームページには
車両の説明がしてあるので、興味のある方はおそらく調べて、
熟知しているのだろう。
京急全線では長編になってしまうのと、まとめ上げるのに
時間がかかるので、久里浜線を対象範囲にしぼることにする。
最後は、桜のシーンにしようと思う。
基本的なイメージをつくり上げて、とりあえず撮影を開始する。

・1月27日、京急久里浜〜堀ノ内間の撮影をする。
朝の通勤・通学時間帯に久里浜から上りの快特で、先頭車両の
前方風景を撮る。朝日が斜めから差し込んで光の加減が良い。
当然、この時間は三脚では周囲に迷惑をかけてしまうので、
手持ち撮影にする。車内の会話がほとんど聞こえないので、
音声部分の大半をそのまま使うことができそうだ。
むしろ昼間の閑散とした車内では、話がしやすいのか、期待に
反して音声部分を使うことが出来ないことが多い。

堀ノ内駅周辺を撮影して、すこし小高いところに上がってみる。
東京湾と猿島、そして八両編成の電車を全て入れることができる。
冬の澄んだ空気の感じもいいと思う。堀ノ内駅を発着する電車を
繰り返し撮影をする。時間が経つのを忘れてしまう。

堀ノ内駅ホーム先端に立っていたら、浦賀行きの車両から運転手が
降りてきて、「そこに立っていると、信号が見えない。」と言う。
振り返ってみると、確かに久里浜線の「出発」信号機がかなり低い。
不都合があるのだったら、利用客に文句を言わないで、高い位置に
設置をすればと思う。また、浦賀行きと関係ないような気もする。

新大津駅から久里浜まで、線路に沿って歩く。
北久里浜までは車の通りも少なく、踏み切りで電車の通過を待つ。
デリバリーの配達の方が、「こんにちは」と挨拶をしてくれる。
「こんにちは」と返す。なぜか気持ちが穏やかになる。
北久里浜駅近くの踏み切りで、車が前に止まったが、こちらに
気がついて、バックをしてくれる。窓がしまっているので、
手をあげておじぎをして、感謝の意を伝える。ちょっとした
気遣いがうれしい。気持ちに余裕をもって私もこうでありたい。
北久里浜〜久里浜間は距離が長い。駅前で昼食をとって休憩する。
久里浜に近づくと、上りと下りの電車の往来の間隔が短くなる。
踏み切りで撮っていると、上り下りがつながっていい感じだ。

・このあと1月後半は、津久井浜駅とその周辺、そして、
小松ヶ池公園の近くにある陸橋で撮影を続けました。
小松ヶ池公園の河津桜は開花が始まった頃で、人影は少ない。
陸橋の上から、下を走る列車を毎日撮影していく。
桜が見ごろになった時のシーンを使おうと考えているのですが、
どうしても早くから撮っておきたくなってしまう。この時撮った
映像は未使用のままでしたが、音声部分を有効利用しました。

・2月上旬は、京急久里浜から三浦海岸の間を撮影。
念の為に、金沢文庫から三崎口間の先頭車両からの前景を
撮っておくことにする。ただ、残念ながら光の加減が
あまり良くなく、乗客の会話が目立ち、運転席には途中から
訓練の為か2名入ってきたので、視界が狭くなって、
結局、使うことは出来ませんでした。
思ったのは、何回も撮り直せる場合は、無理に乗らないで
時間をずらしてタイミングを見たほうが良いということです。
2月の途中から期間限定のラブトレインが走り始め、
気がつかないで三崎口まで行って降りたら、ラブトレイン
だったことに気がつきました。

・2月中旬から線路沿いと小松ヶ池公園の河津桜が見ごろに
なったので、三浦海岸〜三崎口間に集中して撮影しました。
人出が多くなり、小松ヶ池公園近くの陸橋は、花見客と、
京急の鉄道ファンであふれました。多い時で20〜30人くらいの
カメラマンが、線路沿いの桜並木と電車を狙います。
電車が通過するたびに、一斉に連写するシッター音が響きます。
私も撮影をしていますが、当然、音声部分はそのままでは
使えません。写真は音は関係ないので、待ち時間には会話も
聞こえます。予想していた事なので一緒に話をしたり、
カメラのファインダーをのぞかせてもらいました。
この場所からだと、望遠で狙っている方が多いのがわかります。
他の方のアングルを見せてもらうのも、参考になります。
夜には桜のライトアップが始まっていて、出かけてみました。

・3月3日、晴れて青空が広がる。桜もピークを過ぎましたが、
撮影がもう一度必要だと思うところを、撮り直すことにする。
この頃には、電車の撮影の要領がわかったきたので、意外と
スムーズに撮ることが出来るようになりました。

鉄道だけをテーマにした作品は始めてですが、動きがあって
ビデオに適した題材だと、改めて思いました。


・仲田陸橋を通過する2100形と冠雪の富士山

・三崎口駅、ブルースカイトレインと1000形

・堀ノ内駅付近、後ろは東京湾と猿島

・堀ノ内駅を発車したイエローハッピートレイン

・京急ラブトレイン

・京急長沢駅

・小松ヶ池公園付近

・三浦海岸駅付近

・小松ヶ池公園、桜並木と2100形

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